手作りチョコ
長門「ハッピーバレンタイン」
古泉「これはこれは、ありがとうございます長門さん」
キョン「おおっ、サンキューな。長門」
長門「食べて」
古泉「今ですか？」
長門「今」
ｶﾞｻｶﾞｻ
古泉「おお……これはまた芸術的なデコレーションですね。食べるのがもったいないようです」
ﾓｸﾞﾓｸﾞ
キョン「……お!? なんだこれ、すっげえ美味い！ 甘すぎないが苦いわけでもなくて……しかも香りがふわーっと柔らかい。んー、やばいな、クセになる味だぞ」
古泉「なんとも絶妙なバランスですね。舌触りもなめらかで、それでいて重すぎない。いくつでも食べられそうです」
長門「そう」
キョン「長門……これ高かっただろ。どこで買ったんだ？」
古泉「非常に気に入りました。野暮は承知ですが、僕もぜひお店を知りたいですね」
長門「手作り」
キョン・古泉「えっ？」
長門「手作り」
キョン「味といい見た目といい、グルメ番組のチョコの人特集で出てくるようなデキだぞ……」
古泉「……ショコラティエ、ですか？」
キョン「あーそれだ」
古泉「確かに、どこをとっても高級チョコレート専門店のものとしか思えません。何か特別な材料を使われたのですか？」
長門「エクアドルからアリバ種のカカオ豆を取り寄せて作った」
古泉「……は？」
キョン「カカオ……豆？」
長門「そう。まずはカカオ豆を焙炒し、その後外皮や麦芽を除去する。そこからカカオニブを取り出し（中略）
……というわけで1ヶ月ほど要した。喜んでもらえて嬉しい」
キョン・古泉「（ﾎﾟｶｰﾝ）」
長門「ホワイトデーに期待している」
キョン・古泉「……はい」
キョン「すげえのもらっちまったな」
古泉「さすが長門さん、すごいよ！長門さんとしか言いようがありません」
キョン「手作りの次元が違うよ」
古泉「ところでホワイトデーは三倍返しがセオリーと言いますが……」
キョン「……」
古泉「……」
キョン「……キャンディを返すんだったら、サトウキビから砂糖を精製するところから始めんとダメかな……」
古泉「クッキーだったら、小麦を石臼で挽いて粉にするところからでしょうか……」
長門さんの本命はキョンと古泉両方です。