クレイジーフォーユー

俺の下で戸惑うようにナク
俺の愛撫で恥ずかしそうにイク

古泉を抱いているとき、俺はこの世の楽園に迷い込んじまったんじゃなかろうかと錯覚するほどに満たされた。

だけどそれは、時と場所を選びすぎるから、なかなか邂逅できずにいる。


やれやれ。


そんなこともあって、古泉に楽園気分を味あわせてもらったときは、たっぷりと甘やかしてやる。
大人びた見てくれをしている古泉だが、なかなかどうして、相当な甘えたさんだ。

俺は古泉限定で甘えられるのが大好きだからまったく苦にならないのだが、甘えたいときもある。
古泉も男だから、甘えて欲しい気分のときもあるようだ。


だから極たまに、古泉に甘えてみる。
背伸びなんて男の沽券に関わることに目を瞑り、古泉の首に腕を回す。

古泉は「わわっ」なんて頓狂な声をあげながらも、俺の腰をしっかりホールド。


その安心感に身を任せつつ、古泉とハーブシャンプーの混じりあった匂いを胸一杯に吸い込んだ。


「どうしたのですか?」

戸惑いをのせたふわふわ声に耳たぶをくすぐられ、俺は古泉の頬に頬をつける。
やつはようやくクスッと笑い、俺の背中を抱きしめた。



「今日はずいぶん甘えっこさんですねぇ」

そう囁く声は嬉しそうで、俺は天まで舞い上がれそうな気になった。


古泉を抱くと、めくるめくような幸福感に囚われるが、こうやって抱き締め合うと、穏やかで優しい気持ちになれる。

だからつい、本音が飛び出しちまう。


「古泉。おまえがいてくれて、俺は幸せだよ」


柄にもなく呟けば、古泉は俺たちを取り囲む空気ごと、幸せな笑顔で包み込む。



まったく……
これだから俺は、古泉に首ったけなんだ。
文:ぴこ