不屈の超能力者

今回は古長風味

古泉「折り入って相談……というかお願いがあります」
キョン「この時点でイヤな予感しかしない」
古泉「大事なことなんですよ。お願いします」
キョン「しょうがないな……。また機関がどうとか世界がこうとかいう話か?」
古泉「そうではありません。長門さんを僕にください」
キョン「そうか、長……ちょっ、え? なに。なんだって?」
古泉「長門さんを僕にください!」
キョン「イヤ聞こえてるよ! なんだそりゃ!? ワケわからん!」

古泉「わからないことはないでしょう。長門さんを、僕に、いただきたいのです」
キョン「待て。状況を整理する。おまえのその言い様は、娘を嫁にくださいって時の定型句によく似てるんだが」
古泉「似てるもなにもその通りです。長門さんを僕の嫁にします」
キョン「古泉くん。今熱ないか? 今朝通学路で変なモノ拾い食いしなかったか?」
古泉「失礼ですね。僕は至っていつも通りのハンサム☆一樹ですよ」
キョン「よーし。ちょっとそこの窓から飛び降りろ」
古泉「閉鎖空間でならかまいませんが」

キョン「つまり何か。おまえは長門好きなのか。恋愛的な意味で」
古泉「その通りです。なので嫁に」
キョン「いろいろ飛ばしすぎだ。その前に付き合うとか……、いや長門の意思を確認するのが最初だろうが。なんで俺に言ってんだよ」
古泉「まず、お義父さんの許可を取るべきかと思いまして」
キョン「だれがお義父さんか! そういうことなら俺として言うことはねえよ。長門次第だろう」
古泉「ありがとうございますお義兄さん」
キョン「いい加減にしろてめー」
古泉「許可も取れたことですし、早速長門さんに告白します」
キョン「あーはいはい」
古泉「長門さん好きです。結婚を前提に付き合ってください」
長門「………」
キョン「いたのか長門ーーーー!!」

キョン「ちょ、いつからいたの長門!」
長門「……最初から」
古泉「今頃気付いたんですか?」
キョン「おまえも知ってたのかよ! なんだよもうこの状況!」
古泉「それで長門さん……どうでしょうか」
長門「……」
古泉「あ、返事はすぐでなくても構いませんよ。あなたのためなら僕は何年でも待てます」
キョン「嫁にするとか、がっついてた割に紳士的だな」
長門「付き合う、とは男女交際のこと?」
古泉「そうなりますね」
長門「……本などで得た情報を総合すると、男女が二人で遊園地や動物園に遊びに行ったり、食事をしたりといった行為を指すと思われる(………お代はすべて彼氏持ちで)」
古泉「ええ、その通りです」
キョン「……長門さん?」
長門「……了解した。あなたと交際する」
古泉「ホントですか長門さん! よっしゃー! 我が生涯に一片の悔いなし!」
キョン「古泉、長門のセリフ最後までちゃんと聞いてたか?」
古泉「えっ、なんですか?」
キョン「……いや、いい。なんでもない」

長門「早速今日の夕飯を一緒に食べたい」
古泉「もちろんです喜んで! 長門さんのお好きなレストランでいいですよ」
長門「ここ」
古泉「了解です!」
キョン(……バイキングか。長門のブラックホール胃袋のせいで出入り禁止にならんといいが)

◆1ヶ月後
キョン「最近長門とはどうなんだ」
古泉「順調ですよ。レストランを何軒か出禁にはなりましたが。まあ別の店を探せばいいだけです」
キョン「おまえらはイナゴか」
古泉「遊園地や動物園も行きましたし」
キョン「……おまえよく金が持つな」
古泉「今まで貯めに貯めたバイト代がありますからね。これぐらいではなんともありません」
キョン「俺は年中火の車だってのに……おまえに火を付けてやりたい」
古泉「いやいや、僕らもうアツアツですから! これ以上熱くされても!」
キョン「ますます着火したくなってきた」
古泉「あ、今日は長門さんと隣町のバイキングに行く予定ですのでこれで!」シュタッ
キョン「そのうち『バイキング荒しアベック』って、業界のブラックリストに載るんじゃないか?」

◆3ヶ月後
古泉「はぁぁ……」
キョン「どうした」
古泉「長門さんのことなんですが……」
キョン「なんとなく予想はつくが言ってみろ」
古泉「お付き合いを始めて3ヶ月ですが、未だに手を繋ぐことさえできてません……。僕の計画ではそろそろ結納まで行っていてもいいはずなんですが」
キョン「どんな無茶な計画だそれは。相手は宇宙人だ、焦らずゆっくりやれよ。望みはないけどな」
古泉「え、ちょっとなんですか最後の一言。ひどいじゃないですか」
長門「……古泉一樹」
古泉「あ、はい。なんでしょうっ」
長門「今日の帰り、ここへ行きたい」
古泉「ほう、美味しそうなお店ですね。いいで」

ピリリリリリ

古泉「っと、失礼。……はい古泉です。……はい、はい、わかりました」

古泉「長門さん申し訳ありません、招集がかかってしまいました。このお店は後日でよろしいですか?」
長門「……そう」
古泉「すみません。では今日はこれで」
キョン「おー」

バタン

キョン「……なあ長門」
長門「?」
キョン「古泉のこと、どう思ってるんだ?」
長門「美味しいものを食べさせてくれる。何でも買ってくれる。便利」
キョン「予想していたが、微妙にショックな回答だ。なんで俺がショックなのかわからないが」
キョン(古泉の気力と財力が尽きるのが先か、長門がなびくのが先か、だれか賭けないか?)

◆半年後
古泉「……」
キョン「なんか最近遠い目が多いなお前。……長門のことか」
古泉「大丈夫です、ガマンすることには慣れてます。長門さんと一緒にいられるだけでも幸せですよ」
キョン「俺の嫁宣言からずいぶん謙虚になったモンだな。その一途さは褒めてやるぜ」
古泉「今日は用事があるので帰りますね……」
バタン


……

ガチャ
長門「……」
キョン「おう長門。おまえが遅れるなんて珍しいな」
長門「……掃除」
キョン「そうか。……あれ? その髪留めどうしたんだ」
長門「……古泉一樹が買ってくれた」
キョン「ほ~。おまえもそういうの興味持つようになったんだな」
長門「……違う」
キョン「?」
長門「古泉一樹が、わたしに似合うから、と」
キョン「へえ。……付けてるってことは気に入ってるのか?」
長門「……わりと」

キョン「がんばれ古泉。あと1年ぐらいで手をつなげそうだぞ」

 長門さん


♪おまえは知らないー どんなにー僕が愛してるのかを~(B'z)
押せ押せ長門さんの話はいっぱい見るけど、古泉が押しまくるってのは見たことない気がするので。でもあんまり押してないですね……。