ゆずれないもの。

キョン「おまえって一人暮らしなんだっけ?」
古泉「ええ、そうですね」
キョン「今度遊びに行っていいか?」
古泉「えぇ!?」
キョン「なんだその反応。迷惑だったか?」
古泉「いえ、そうではなく……。その、なんというか、あなたからそのような申し出があるとは夢想だにしなかったもので」
キョン「大げさだな。別にいいだろ? たまには男同士でダラダラしたってさ」
古泉「は、はい、そうですね。そうですよねっ」
キョン「じゃあ今週末でいいか?」
古泉「はい!」

週末---

古泉(ああ、どうしましょう、落ち着きません。今日は、か、彼が! 僕の家に!
3年間友達なんて作ってる余裕ありませんでしたが、ついに僕も友人と過ごす時間が取り戻せるのですね……!
夕べは楽しみすぎてまったく眠れませんでしたが、彼が来ると思えば眠気なんてすっ飛びます。
部屋も徹底的に掃除しましたし、ジュースもお菓子も用意しましたよ! 準備は万端です!!)

ぴんぽ

古泉「はいぃぃ!」

ガチャッ!

キョン「うわっ!」
古泉「いらっしゃいませっ!」パァァ
キョン「……玄関で正座して待っていたかのような速さだな?」
古泉(あああ最初からドン引きさせてしまいました。落ちついていっちゃん。ビークール)
古泉「と、とりあえず中へどうぞ」
キョン「おう、おじゃまー」

キョン「なんで自宅で正座してんだおまえは」
古泉「は、その……どうにも緊張してしまって」
キョン「何故家主が緊張する。それになんなんだこのお菓子とジュースの山は。商売でも始めるのか」
古泉「おやつです。どうぞお好きなだけ食べてください」
キョン「完食するのに1週間かかるんじゃないのか? ていうか……おまえさっきから行動が変だぞ」
古泉「えっとその、何して遊ぶものなんでしょうね。ここでボードゲームというのも……」
キョン「そう硬くなるなよ。安心しろ、俺が楽しめるものを持ってきてやったぞ」ガサガサ
古泉「え!」
古泉(彼からおみやげ!? なんと、これはちょっとしたスペクタクルですよ)

キョン「じゃーん♪」
古泉「……………………へ?」
キョン「先月手に入れた奇跡のFカップのお宝AVだっ!」
古泉「あ……………」
キョン「家だとなかなか鑑賞するスキがなくてな、今までお蔵入りになってたんだ。その点一人暮らしのおまえの家なら安心ってわけだ。かなりスゴいらしいぜ、期待しとけよ古泉!」
古泉「………」
キョン「あ、DVDデッキはこれか?」イソイソ

ガターン!!

キョン「えっ!?」
古泉「出てってください!」グイッ
キョン「うわっ! ちょ、なにすんだ!」
古泉「そのDVD持ってさっさと出てってください!」グイグイ
キョン「わ、わ! よせ、やめろ古泉! はなせ! 急にどうしたんだよ!?」

古泉「ひどい……です、そんな、AVなんて……!」
キョン「!!」

キョン(そうだ……こいつ、3年間友達も作れず過ごしてきたんだった。
きっとこんな下世話なものじゃなく、ゲームするとか、ただダベるだけとか、一緒に勉強するとか、そんなささやかでありふれた友達付き合いを望んでいたに違いない。それなのに俺は……っ!)

キョン「古泉、スマン……。俺が悪かっ
古泉「巨乳に興味ないんですよ! 貧乳モノ持って出直してきてください!!」
キョン「そっちかよ!!!!」

 


実は古長も好きなんですよ(このタイミングで言うな)